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安須森御嶽(辺戸御嶽)

 
 安須森御嶽は琉球開闢七御嶽の一つであり、沖縄最高の聖地である。安須森と書いて一般的には「あすもり」と読むが、「国頭村史」によると、「あしむり」と呼ぶのが正しいとのこと。「琉球国由来記」ではアフリ嶽 神名カンナカノ御イベとある。「中山世鑑」によると、沖縄で最初に出来たお嶽のようで、「国頭村史」を見ると、起源1世紀頃にアマミキヨ族が南西諸島を南下してきて宇佐浜遺跡に居を構えたことと関連があると指摘している。似たような話は久高島にもあり、久高島には同じく七御嶽の一つであるフボー御嶽があります。琉球民族に刻まれた先祖の遠い記憶とも言うのでしょうかね。
 「琉球国由来記」によると、今帰仁のアフリノハナに涼傘が立つとき、アフリ嶽(安須森御嶽)に君真物の神が現れるという。また、キミテズリの神というのも出現するらしく、「角川日本地名大辞典沖縄」の辺戸岳の解説によると、国王即位の前に出現する神のようだ。
 入口にある看板にはかつては数百万人が参拝し、現在もたくさんの県民が訪れるとあるが、インターネットを見ても訪れたという人はそんなにいなさそうですし、実際沖縄で聞いても訪れたことのある人はおろか知らない人の方が圧倒的に多い気がします。ノロ等の神人を除くと1週間に1人登るかどうかじゃないかという気がします。
 もっとも、今帰仁村立博物館の館長が言ってましたが、あまり一般人が訪れると霊力が弱まってよくないし、本来はイビまで登るのは神人しか許されないものなので、管理人のような物好きが登るのは好ましくないのかも知れませんね。安須森御嶽を登る方は、他の御嶽も同様ですが、せめて神様に対して厳粛な気持ちを持って登るようにしましょう。
 なお、この安須森御嶽は標高248mあり、道は激しく険しいので、登る際は相応の格好をして臨みましょう。冬でも湿気が高くジメジメしていました。夏ならもっと湿度が高いかも知れません。頂上付近は落ちると確実に死にますので注意して登りましょう。ハブが出る危険性もあります。参考までに管理人は看板のある入口から20分で山頂まで到着しました。御嶽には峰が4つあるようですが、どれを指して、どこまで行けるのかはよく分かりません。


   
宇佐浜遺跡近くから見た安須森御嶽。遠い昔の先祖達はこのそびえ立つ山を見て何を思ったのか。 分かりにくいですが。国道58号線沿いの入口です。西海岸から来た場合、辺戸集落を過ぎてすぐ右側にあります。ここに車を泊めてもいいですし、登った先の平地にも泊めれないことはないです。もっとも、万が一があった場合、奥に泊めてたらしばらく気付かれないかも知れません。
   
58号線から入口までは歩いても2、3分程だと思います。 入口にある看板。「辺戸岬の御天軸は神々の大聖地である琉球古来より数百万人の方が参拝し、病難回避、安泰、繁栄の御加護を祈る厳粛な聖地である。現在も多くの国、県民が参拝する重要な文化財である。この聖地を破損、破壊した者は法令の定める所より厳重に処罰される。」。近世以前の沖縄はせいぜい人口が10~20万人だったのに、1000年かけても数百万人もの人が訪れるものかしらと突っ込むのは無粋でしょうか。実際にそれだけいた可能性も否定できませんが。 
   
さぁ、登りましょうか。 麓にある拝所群。恐らくかつてはここか中腹にある拝所でしか一般人の参拝は許されなかったものと思われる。
 
「うがんじゅぬ ちゅらさや うちなーんちゅぬ ちむじゅらさ」。訳すると「拝所の美しさは沖縄県民の心の美しさだ」ぐらいでしょうかね。公園は綺麗にと同じ類です。 黄金山とあります。安須森御嶽の更なる別名でもあるらしい。 
   
幾つか拝所がありますが、それぞれの役割は分かりません。安須森御嶽内の御嶽の数に対応しているのかも。 遙拝所っぽい感じ。 
   
拝所群をちょっと登るとすぐロープで囲まれた道が見えると思います。ここからが勝負! ロープがなくても登れないことはありませんが、あると大分楽です。たまに固定がしっかりしてないため下手に全体重をかけて掴むと振り回されるのでご注意を。
   
途中からは更に道が狭くなります。かつて落ちた人もいるんじゃないだろうか。 中腹にある拝所。10分強で着きます。今帰仁村のクボー御嶽も中腹に拝所がありました。クボー御嶽の場合は一般参拝者は中腹までしか登ることが許されなかったと聞いたので、こちらもそうなんだろうか。 
   
男神と女神があると聞いたので、そのどちらかを祀ったものかも知れない。 振り返ると大分登ってきたことが分かります。 
   
もう片方の拝所。こちらにはイビらしきものは見えず、香炉らしきものが見えます。 鬱蒼とした森から、少しずつ明るくなって来ました。ハブが出そうで嫌です。管理人が訪れたのは冬ですが、夏なら出るかも。
   
もうすぐで頂上。 これは絶景です。 
   
よじ登るという感じになります。一応ロープはあります。 到着!ここが神々が降臨する場所であります。沖縄の聖地巡りをすると神様というものを考えさせてくれます。
   
まんま書きますと「ここは聖地です 創造主か人類の保護育成のため遣わ、れた御池の神々を統○される男神へ地上の天使達か御恩と願い筋を上げる場所てあります」。濁点はきっと消えたのだと思うが、それにしても若干不自然な日本語の文章ですよね。何故かキリスト教っぽい文言だ。内容は概ね正しいはずです。ここは沖縄における天孫降臨の場所ですから。 何か沖縄っぽくないようなデザインな拝所。この安須森御嶽の先の方を向いています。ひょっとしたら尚第1・第2王朝縁の地である伊是名・伊平屋を向いているのかも知れない。
   
こちらは神道スタイルな拝所。イビでしょうか?遙か祖先の地、奄美果ては九州まで向いているのか? 人工的に置かれた石な気がしないでもない。 
 
北西部を眺める。管理人が訪れたのは2009年2月下旬でしたが、夏ならば空が澄み切ってたでしょうね。まぁ、暑い夏に登りたくはありませんが。 峰が4つあるとのことで、先までが安須森御嶽となるのだろうか。先に見えるのが観光地でもある金剛石林山かな。それにしても、こんな山頂にもソテツは生えてるんですね。
   
もう一つの峰と思しき場所へ向かう。 神々しい風景ですよ。 
   
ヤンバルの深い森。こんな森にも何本か林道が通っています。 もう一つの峰に到着。分かりにくいですが、拝所のようです。ここも北西方向を向いているように見える。
   
御天卯之○神までは読めます。どうやってこんな場所に設置したのか・・・ 下に見えるのは東海岸へ向かう国道58号線。 
 
若干荒れ果てています。 来た道を振り返る。 
   
登って来た道と違ってこちらはなだらかな傾斜。 写真では分からないと思いますが、伊是名島・伊平屋島が見えます。 
   
道陰にも拝所がありました。 似たような写真が多いかな。
   
辺戸岬が見えます。右奥には微かに与論島が見えました。 辺戸の集落。20分でこんだけ高くまで登れるんですね。大声を出したら届くのだろうか? 
   
再び東海岸。 南東方面。正しく山原という言葉がぴったり。 
   
さて、降りましょう。これは恐怖。 滑り落ちたら死にますよ、これは。 
   
下り道。登りは大変だけど、下りもまた大変。 ケガしないよう注意して下さい。管理人が訪れたときは少なくとも何日かはまとまった雨は降ってなかったのに湿気が高く、道もぬかるんでいましたので。